活動報告

平成7年度設備CAD研究会活動報告

平成8年4月2日
設備CAD研究会
神田茂男

1.活動概要

当会は、平成6年1月に結成され、平成7年7月より(社)日本空調衛生工事業協会(以降、日空衛)の研究会として活動している。設立時より参加各社のCAD担当者によるCAD運用の相互勉強会を主体に活動を行ってきた。これに加えて平成7年度には、以下に述べるように多くの活動をワーキンググループに分かれて行い、多くの成果が生まれてきている。ワーキンググループは3グループに分かれ、表_1に示す8テーマについての検討作業を積極的に行ってきた。
これらのテーマ以外にも、設備CAD研究会全体として、ゼネコン大手5社の設備設計部門の自主的会合であるゼネコン5社設備設計CAD会分科会とのCADシンボルに関する意見交換や、日空衛の情報化推進委員会への代表参加、日空衛によるCI_NETシンポジウム'96事前発表会への参加等も行った。
以下に、主要テーマ毎の平成7年度活動内容と今後の活動計画をまとめる。

表_1 平成7年度のグループ毎の活動テーマ
第一グループVDT作業標準の提案
CAD技術者共通試験
CADベンダーとの意見交換
CADオペレータ座談会
第二グループ空調図面作図マニュアル
衛生図面作図マニュアル
第三グループデータ交換検討

2.個別テーマ毎の活動内容

(1)参加各社によるCAD運用事例発表

事例発表による相互勉強会は、設備CAD研究会発足当初から継続して毎回欠かさず実施している。今年度は6社の事例発表を行った。同業他社のCAD運用の実態を知ることはお互いに非常に参考になり、参加者の最も興味のある部分でもあることから、毎回多くの質問があり活発な討議が行われている。このCAD運用事例発表は、設備CAD研究会開催時に、今後も継続して実施されて行く事としている。

(2)CADベンダーとの意見交換

平成7年度は、表_2に示すCADベンダー5社との意見交換を実施した。ベンダーによるソフトの紹介と、参加者による質疑を実施している。CADベンダーに対しては、カタログ情報の列挙にならないよう、CADソフト開発の体制・ソフトの現況・ユーザーへの要望・今後の開発予定等の情報を提供していただくようお願いして実施している。迎える当方としても、細かい不具合の追求にならないように配慮している。結果として実りある交流が出来たと考えている。
今後とも、CADソフトのベンダーとの意見交換を継続すると共に、周辺機器メーカー等にも対象を広げて行く予定である。

表_2 CADベンダーとの意見交換会参加ベンダー
実施時期ベンダー名称CADソフト略称
平成7年7月株式会社ダイテックCADW'ell
平成7年9月株式会社テクノダイヤCADIAN ARCADE
平成7年11月株式会社フソウシステム研究所U/KIT
平成8年1月株式会社コモダ工業スペースプランナー
平成8年3月ダイキン工業株式会社Auto_HAS

(3)CADオペレータ座談会

各社のオペレータのレベルアップ・意識改革を目的に企画し、平成7年10月に10社11名(全て女性)の参加でCADオペレータ座談会の第一回を実施した。
この会合では、結婚・仕事・教育・作業環境等の、参加者にとって日頃より関心の高いテーマについての討議だったためか、初対面にも関わらず、活発な意見交換がなされた。「他社のオペレータと意見を交換することで自社のレベルを知り意欲が高まった。」等の意見があり、良い面での収穫の多い会合となった。平成8年度も秋に実施する予定としている。また、事前に各社のオペレータに教育・作業環境等のアンケートを取り問題点を抽出した。約150名の回答があり、仕事の内容・環境の現状がよくわった。これも大きな成果と言える。

(4)CAD技術者共通試験

このテーマは、当初はCADオペレータの認定試験を実施する方向で検討を進めていたものであるが、試験の継続的実施の為には、対象者数を考えると設備CAD研究会で実施するには困難が大きいこと、試験問題のレベルの設定が難しく始めてしまってからの修正が困難となる事が予想されること等により、当面設備CAD研究会参加企業内での共通試験という位置づけで実施する事とした。これを継続することで、問題のレベルの設定や試験業務の作業量がはっきりし、実績を積み重ねることで正式な認定試験への道が開けることも考えられる。平成8年度前半に試験の実施と試験内容に関するアンケートを実施する予定としている。

(5)VDT作業標準の提案

CADに関わる作業は労働省の告示にあるVDT作業に該当し、当研究会でも平成6年度より講習機関の紹介や、講習受講者による発表を行ってきた。平成7年度は、研究会としてVDT作業講習を実施すべく検討を行ったが、実施困難と判断されたので以下の方針に変更した。
労働省の告示では、VDT作業の内容を付表の形で4種類に分類している。しかし、人間の健康に関わるVDT作業の性格から、告示の作業分類については最も厳しいものが適用されがちになっている。CAD利用の広がりから考えると、過去のトレース業務は減少の一途でありCADを作図の道具として作業している場面が多くなった。この場合は、画面を注視する時間よりも作図のための検討を行っている時間が多くなり、VDT作業の面ではかなり軽度のものいえる。この現状から、設備CADの利用の場面を想定した作業標準が必要との認識に至り、設備CADにおけるVDT作業標準の策定を目的に活動を行っている。まず、研究会参加企業のCAD部門のVDT作業の現状に関するアンケートを取り、平成8年度には研究会に提案する予定としている。

(6)空調・衛生図面作図マニュアル

現在の設備CADの運用は、操作の複雑さ等によりオペレータ主体となっている。しかし、教育のための分かり易くまとまった資料がなかなか無いのが現状である。よって、CADソフトの種類によらず、共通の「施工図作成」にかかわる知識を整理した教育資料を作成すべく活動を行った。表_3に示す目次のような広い内容の資料を作成し、ほぼ作業を終了している。資料は、空調・衛生技術の基礎知識および作図の決まり事をまとめたものとなっており、初級技術者向けにも十分使用可能なものである。
平成8年度は、追加部分の作成に加えて、作成したマニュアルを設備CAD研究会参加各社の中で使用して問題点を抽出し、改訂を継続する作業を行う予定である。

表_3 空調・衛生図面作図マニュアルの目次
空調編
1.建築図の見方
2.空調設備設計図の見方
3.天井内ダクト施工図の書き方
4.空調機械室内ダクト施工図の書き方
5.天井内配管施工図の書き方
6.空調機械室内配管施工図の書き方
衛生編
1.建築図の見方
2.シンボル類凡例
3.使用配管材料一覧
4.図面表示方法
5.異種管接合方法
6.継手接続の最小寸法
7.便所詳細図
8.受水槽詳細図
9.高置水槽詳細図
10.貯湯槽詳細図
11.配管べからず集

(7)データ交換

このグループでは、CADの有効利用を図る場合に重要な課題となるデータ交換についての検討を行っている。データ交換の中でも、平成7年度は「電子カタログ」と「総合図」にテーマを絞って活動を行った。

1)電子カタログ

電子カタログは、CADの一般化につれて多くのメーカーが作成・配布を行うようになっている。データのフォーマットはDXFでほぼ統一されているものの、CADでの有効利用を考えると改善すべき点が多いのも事実である。当グループでは、まず研究会会員各社に対する利用状況のアンケートを行った。この結果、電子カタログ供給可能企業が、空調・衛生設備業界関連だけでも70社以上になっている事が判明した。しかし、同時に図面展開方向・レイヤ区分・図形ブロック化等にばらつきが多い事もわかった。
この状態を改善し、電子カタログデータが真に有効利用できる事を目指して、「電子カタログ化標準仕様方針案 Ver.1」を策定した。この提案の内容は、表_4に示す項目からなっている。
標準化により、CADベンダーはメーカーデータを自社CADに取り込むための多大な作業から開放される。また、メーカーにとっても、作成するCADデータの内容の標準が出来ることにより、ユーザーが使いやすいデータを提供することが可能になる。ユーザーにとっても、メーカー毎のデータ内容の確認や個別のデータの違いによるデータ取り込み時の編集作業から開放されることになり、電子カタログに関わる全ての企業が利益を得ることが出来る。
平成8年度は、方針案の詳細な部分の詰めを行うと同時に、メーカー・CADベンダーへの方針案の提示を行い。本提案が業界内の標準となるよう働きかけを行っていく。また、各種の標準化検討グループとの連携も引き続き継続していく。

表_4 電子カタログ化標準仕様方針案の項目
項目定義内容
(1)データ変換要領 電子媒体・データ形式・方法
(2)図面展開方向の取り決め 展開方向と対応データの区分
(3)図面レイヤの設定 構成内容と対応レイヤ属性
(4)線種の定義 標準線種
(5)色の定義 標準色
(6)図面縮尺 標準縮尺
(7)外形図面・詳細図の区分け ファイル・レイヤ分類
(8)配管・ダクト接続種別 用途記号、サイズの記載方法
(9)検索用テキストデータ 標準項目と記述形式

2)総合図

CADの普及と共に、現場施工での総合図の作成は今や必須の業務となっている。しかし、CADデータを使用した総合図作成業務は、必ずしも簡易に出来る業務とはなっていないのが現状である。当グループでは、作業所において、有効な初期対応の出来る比較的容易で具体的なガイドブックを作成し施工合理化の支援とすることを目的に活動を行っている。CAD総合図の問題は、データ(DXF)による部分と運用上の問題に分けられるが、主として運用上の問題に焦点を絞って活動を行っている。
まず、総合図についての理解を深めるための資料として、「総合図の位置づけと概要」「一般的な総合図の作成手順」を作成した。また、アドバイス、成功例、失敗例をまとめることで、運用上の問題点を回避できるようにしている。また、「CAD総合図チェックシート」を作成し、円滑に運用できるよう支援している。
以上の事項で、従来行われている総合図作成業務を有効に実施できる助けとなるが、さらに、従来とは全く異なった方法論である「CAD総合図作成に関する新工夫」を提案している。平成8年度は、この活動を継続していくこととしている。

3.おわりに

以上の多くの活動から明らかなように、設備CAD研究会の性格は、相互の勉強会を主体としたものから、共通の問題に対し何らかの解決策を作っていく会合に変わって来ている。参加企業の大きな努力により成果物も多く得られている。また、設備CAD研究会内だけでなくゼネコンや他業務との情報交換も行われ、平成7年度は、活動の深さ広がり共に大きく進展した年となった。
今後も活発な活動を継続していく事により、設備業界におけるCAD活用のレベル向上・普及に貢献できると自負している。設備CAD研究会は、平成8年3月現在で表_5の名簿に示す28社となっている。今後とも業界をあげたCADの効果的運用を目指し活動を続けていく。
本会の主旨に賛同いただき、積極的に会の活動に貢献していただける会社の参加を心よりお待ちしております。

表_5 設備CAD研究会会員名簿
法 人 名
(株)朝日工業社、川崎設備工業(株)、川本工業(株)、斉久工業(株)、三機工業(株)、三建設備工業(株)、(株)三晃空調、芝工業(株)、(株)城口研究所、新日本空調(株)、新菱冷熱工業(株)、須賀工業(株)、第一設備工業(株)、大成温調(株)、大成設備(株)、(株)大氣社、◎ダイダン(株)、◎高砂熱学工業(株)、竹村総合設備(株)、(株)テクノ菱和、◎東洋熱工業(株)、(株)トーヨコ理研、◎(株)西原衛生工業所、◎日立プラント建設(株)、◎日比谷総合設備(株)、富士電機総設(株)、丸紅設備(株)、大和設備工事(株)
(平成8年3月現在。◎印は平成8年度幹事会社を示す。)