先日、妻の実家に行った時に、押し入れの奥のほうに古いラジオがあるのを見つけました。そのラジオは、私が50年ほど前に見たことがあった高性能ラジオでした。こんな古いラジオをなぜ保管しているのか、義母に聞いたところ、亡き義父が防災用のラジオとして保管していたとのこと。単一乾電池が4本必要で、2.5kgもあるラジオが防災用?と思ったので、もっとコンパクトな携帯性の良いラジオをプレゼントして、この古いラジオを譲っていただきました。
今から50年ほど昔のことになりますが、1970年代にBCL(ビーシーエル:Broadcast Listening)と言う趣味がブームになっていました。同世代の方はご存知かと思いますが、ラジオ放送、特に短波による海外の放送を受信して、受信感度などのレポートを放送局に送り、お礼としていただける放送局独自にデザインされた「受信証明書(通称ベリカード)」を集めるという趣味です。同世代の方の中にはBCLにハマった方もいるかと思います。あの頃は、BCLの書籍が多数出版されたり、ナショナルの「クーガ」やソニーの「スカイセンサー」などの高性能なBCLラジオが販売され、テレビコマーシャルで大々的に宣伝していました。今では想像できないほど、メジャーな趣味としてブームになっていました。
私は当時11歳ぐらいだったのですが、家にあった普通のラジカセでAMやFMの放送を受信していました。しかし、BCLで人気のある海外の放送は、ほとんどが短波放送だったので、途中から高性能なラジオが欲しくなり、後に名機と言われる
ソニーのスカイセンサー(ICF-5900)と言う機種を、小遣いを貯めて買い、夜な夜な海外の日本語放送を受信していました。
しばらくは夢中になっていましたが、中学生になると少しずつラジオへの興味も薄れ、使わなくなり、ついには廃棄してしまいました。今思えば、なぜ取っておかなかったのか後悔しています。
当時はBCLをやることで、地球の裏側からの声を聞いたり、そこに郵便物を出して「ベリカード」を送ってもらったりすることで、遠い外国とつながることができる。そこに小学生なりに夢やロマンを感じていたように思います。