コラム「音楽とAI」

コラム「音楽とAI」

2024/07/31
非営利活動法人 設備システム研究会
田中健悟


はじめまして、田中と申します。
まずは簡単に自己紹介をします。
某BIM会社でBIMエンジニアをしております。
最近、業務で興味がある分野は、プログラミングとAI。昔から継続している趣味は楽器の演奏(コントラバス、ギター、ベース)とDAWによる作曲です。
(DAWとは、「Digital Audio Workstation」の略で、読み方は「ダウ」または「ディーエーダブリュー」。MIDIやオーディオを扱い音楽を制作することの出来るDTMソフトウェア、音楽制作ツール全般を指す)
せっかくのコラムの機会なので、私の趣味である音楽とプログラミング、AIを絡めた内容を書かせていただきます。
個人的に、DAWとプログラミングは親和性が高いと感じてます。DAWにも、BIMのようにアドオンが存在し、その中にはプログラミングソフトもあります。しかし、使いこなすには音楽とプログラミング両方の知識が必要とされますが、参考になる資料はネット上ではまだ少ないです。時々、YouTubeなどでプログラミング言語を用いて作曲している方のライブがあったりして、音楽はとてもかっこいいのですが作成方法が個人的に非常に難解なため、真似したいとも思いませんでした。
私のDAWによる作曲手法としては、まずはギターorピアノ(コード)→ドラム→メロディ→ベースを入れてみて、そこからパーカッションでリズムに幅を出したり、シンセサイザーで音に厚みを持たせたりしてサビを作成し、各楽器の音の足し引きで展開をつけ、展開が決まったら各楽器の音量等調整(ミックス)、最終工程であるノイズ除去、音圧調整(マスタリング)で完成です。
ものによりますが、0の状態から一曲を完成品まで持って行くために、7〜10時間程度かかります。休日の夕方くらいから作り始めて、のめり込み過ぎて気付いたら朝になっていたなんてことがよくあります。 そこまで苦労して作った曲をネット上で公開しても箸にも棒にもかからない、ということもザラです。
そうした活動の中、私が考えたことは、
「名曲のメロディやコードを全く違う曲になるように、かつ、いい感じに組み換えて、自分の曲にしてしまえば良いのではないか」
人間がチマチマピアノ音符を並べて、ドラムのパーツをポツポツ置くのでははなく、自動で音、リズムの体裁を整えて、楽曲として成立してくれるような、そんな夢のようなアドオンやソフトは無いか、もっというと、AIに命令を与えたら、それに従って自動で作曲してくれるようなソフトは無いだろうか。
そう考えだした当時、自動作曲と謳っているソフトは存在はしておりましたが、まだとても曲と呼べるようなレベルにはならず、やはり、自分で音楽理論と各楽器の知識を深めて行くしか無いかと諦めておりました。
が、作曲AIは想像以上の速度で進歩していました。
最近現れたUdioというAI作曲ソフトですが、SNSでの一部のマニア曰く、完全にシンギュラリティ(AIが人間を上回る)が起きたとのこと。
Udio(β版)
https://www.udio.com
早速、試しに一曲作曲してみようと思います。

曲のジャンルや設定をざっくり入力し右上の[Create]を入力するだけで数十秒で完成

ジャンルに「ジャズボーカル、ボサノバ」、キーワードに「宇多田ヒカル」と入力してみました。なお、歌詞も自動生成してくれます。
↓こちらが完成したものです。
kiritanpo - Whispers in the Night | Udio Listen to Whispers in the Night by kiritanpo on Udio. Discove www.udio.com
驚愕でした。
残念ながら宇多田ヒカルとは似ても似つかない歌声ですが、全楽器パート、作曲、アレンジ、J-popの普遍的な歌詞(少し宇多田っぽい)など完全に商業的に販売できるレベルです。
今までの苦労はなんだったのか。
仮歌を歌ってくれる人を必死でネットで探したりもしなくてよいという...。
いずれすぐに、今まで誰も想像も出来ないような生身の人間が表現できない高度で複雑な曲を、それに合わせてAIが自動生成したPV(プロモーションビデオ)と共に表現されるような未来が来るでしょう。
また、そのアーティスト?のコンサートはメタバースの3D空間で演出されることになるでしょうね。
そうなると逆に、生身の人間のライブ表現の価値は上がるのでは…。
人間が聴き取れない周波数帯域を生楽器で奏で、振動を体で感じ取ってこそが音楽の醍醐味!という方は「ライブ生音派」の派閥に分けられるかもしれません。
ジャズやクラシックで使用する楽器(コントラバス、サックスなど)は、[倍音]というDAWで再現することが難しい振動の成分が多く含まれており、ストレス軽減の効果があるといわれております。生演奏には、プログラミングやAIでは表現できない、職人が木や金属で製作した生楽器の奏者でしか奏でられない魅力があることは、間違いないです。
というところで、強引かつ手前味噌ですが、私が主催しているジャズバンドのライブ動画を宣伝として最後に貼らせていただき、締めさせていただきます。
群青色カルテット
https://www.youtube.com/watch?v=y-FgTD1CK6A
[ライブスケジュール]
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