コラム「ペーパーレス実現のため課した自分ルール5選」

コラム「ペーパーレス実現のため課した自分ルール5選」

2024/05/31
非営利活動法人 設備システム研究会
畠田


自称デジタル過激派の私。ランチはスマートフォンでオーダーしてキャッシュレス決済。電車に乗るのはスマートウォッチ、タクシー呼ぶのはスマホアプリ、買い物はネットショッピングと、デジタル社会にどっぷりつかった生活を送っております。
そんな私も5年前までは、A4の分厚いルーズリーフノートに万年筆でメモをとり、紙のスケジュール帳で仕事の管理をしていました。しかし、大人の事情で「ペーパーレス化」に取り組む事になってしまいました。どうせなら過激にやろうと思い「ティシュペーパーと紙コップ以外、紙は使わない」を目標に、紙を使わずデジタルツールを駆使する仕事の仕方へ切り替えてきました。今回は、ペーパーレス実現のため課した自分ルール5選をご紹介します。

1. ペンは1本しか持たない
メモを取るのに、紙にペンで手書きする方が絶対に早いです。また、ボールペンは、どこででも入手できます。そんなペンですが手軽に書ける分、手書きした資料が次々と増え、山積みになってしまいます。それら電子化して整理するとなると、スキャンしなければならず、手間がかかります。また手書きした文字は、スキャン時の画像圧縮によって “もやもや”したノイズが乗り、字が読めなくなることも少なくありません。偉い人が書いた文字を「読めません」と中々言いにくく、時間をかけて解読するはめになります。
ということで、スタイラスペンを使ってタブレットに書き込む方が、かさばらず、可読性も高く、トータル的に時間短縮になると考え、あえてペンは1本だけにし、手元にない状態としました。紙の資料にメモしたい時は、いちいちカメラで資料を撮影するなどして、スタイラスペンを使うように、努力を重ねてきました。今では紙の資料をほとんどもらわなくなったこともあり、違和感なく業務を進めることができるようになりました。
ただ、先日、現地調査時にタブレット端末にスタイラスペンで書き込みをしている時、過ってスタイラスペンを落下させてしまいました。ペン先が割れてタブレット端末に書けなくなってしまいました。割れたペン先をセロハンテープでぐるぐる巻きにし、何とか書けるようになった物の、こんな時にデジタルは無力だと痛感しました。

2. 会議メモはキーボード入力
会議のメモは、タブレットとスタイラスペンで取っていましたが、私個人の問題で、書いた文字が汚すぎて、後々読めないことが時々ありました。しかし、会議中にガチャガチャとキーボード入力するのは気が引けるし、何より面倒だと感じていました。
ただ、紙に手書きのメモでも、スタイラスで書いたメモでも、議事録を清書するときには、キーボード打たなければならず、二度手間をしていることになります。そこで、思い切ってキーボード入力へと切り替えることにしました。最初、キー入力が大変でしたが、タイピングスキルが向上することで、議事録作成のスピードアップができました。タイピング速度が向上すると、文字入力を行う業務全てで、作業効率がアップします。ただ最近は、AIによる音声文字起こしが進化しているため、せっかく身につけたタイピング技術もAIに取って代わられそうで、少し悲しいです。

3. 音声通話はヘッドセットを使う
そもそもペンは片手で使えるので、電話片手に書類にメモを書きこむことは、当たり前にできます。ところが、スマートフォンで通話中にスケジュール確認しようとすると、スマートフォンの画面が見れないことに気付きます。また、通話中にパソコンでスケジュール確認し、決定したスケジュールを入力するとき、片手でタイピングするか、器用に肩と耳でスマートフォンを挟みながらキー操作することになり、全くスマートではありません。
ヘッドセットを使うと、通話しながらスマートフォンの画面操作ができます。その他、BIM/CADを操作しながらの通話や、Webミーティングでも、ヘッドセットは大活躍します。街中で、ヘッドセットを使って通話している方も普通に見かけますし、価格もお手頃です。
個人の意見ですが、ヘッドセットは、使い方より所作が難しいから、二の足を踏む方が多いのではないかと思っています。通話中に話しかけられたときにボディランゲージで電話中と伝えることや、通話中の周囲への気遣いなど、ヘッドセット利用を躊躇する原因の一つかもしれません。
そんな私は、スマートフォンとヘッドセットの接続が切れてしまい、仕方なくヘッドセットを付けたままスマートフォンを耳にあてて通話することがあります。ボケをかましているわけではないので、ツッこまず、そっとしておいていただけると助かります。

4. PDFを活用する
PDFの図面データを受け取ったら、とりあえず印刷してクリップ止めするのが、ルーティンになっている方もいらっしゃると思います。紙でやりたい作業をPDFでも実現できる様にならないと、紙への未練が断ち切れません。無料のPDF編集ソフトは、購入へ誘導するため、絶妙に機能制限がかかっています。いろいろな無料版ソフトの機能をつまみ食いしている方もいるかもしれませんが、機能が充実している有料のPDF編集ソフト1つに絞って、使い倒すことをお勧めします。
同一ファイルの異なるページを並べて見る事や、大きな表の行・列タイトルを追いかけるなど、紙なら簡単なこともPDFの場合、慣れが必要です。ページの抜き差し、コメントの追記など、日常的な編集に使う機能に加え、検索機能、しおりの設定、サムネイル表示なども使いこなせば、紙よりも早く、やりたいことが達成できます。紙にペンで手書きするのは早いですが、実は消すのが遅かったりします。PDFに入力した文字や線は、早くきれいに消せます。そして、コピー&ペースト機能、レイヤー機能などにより、トータルとして、手書きより早く、色塗りやコメント追記ができるようになります。
先日、打ち合わせ中にパソコンが手元になかったので、紙の図面を借りて見ようとしたところ、老眼が進んだのか小さい字が読めませんでした。パソコンやスマートフォンでは、拡大表示すれば見えるので、また一つ紙を使わない理由が増えてしまいました。

5. 電子書籍の活用
カタログや仕様書など、電子データやWebで提供されているものがありますが、紙のほうが見やすいという意見も聞きます。また、よく見るカタログなどは、色、形、保存場所が記憶に残っているので、すぐに探せると感じます。しかし、電子カタログなどはWebから探して閲覧するまでに意外と時間がかかりますし、やっとたどり着いても、ユーザー登録を求められ、「面倒くさい」となってしまいます。
ただ、書籍やカタログを整理し、最新のものを揃えておくのは、手間がかかります。時には行方不明になり、見たい時に見れないなんてこともあります。電子書籍・電子カタログであれば、最新データを容易に入手でき、いつでもどこでも見たい時に見られます。検索機能で目的のページを素早く開くことや、小さな文字を拡大して見ることもできます。設備システム研究会で発行している書籍も、ただいま電子書籍化を進めております。紙派の方にも利用してもらえるよう、使い勝手にこだわっていきますので、ぜひともご期待いただければと思います。

長々とペーパーレスについて書かせていただきましたが、数々の失敗を重ねて、試行錯誤の上、今に至ります。おかげさまで、デスクから書類が消え、ノートパソコンを持ち歩けばどこででも仕事ができる環境が整いました。その割には、期限ぎりぎりまで仕事がまとまらないのは、なぁぜなぁぜ?