コラム「お城巡り」
2022/02/28
非営利活動法人 設備システム研究会
ベンダーのS
Tfas、LinxベンダーのSです。
城巡り好きの私も現存天守12城は、北は弘前城から南の高知城まで巡り、丸岡城だけを残すだけとなりました。日本の城100選では約半分の52の城までしか巡ってないので、まだ先は長いと感じています。
お城の良さは『時代・背景』『技術・知恵』『自然や城下町との一体感』を感じられる点です。
お城には大きく分けて「山城」、「平山城」、「平城」に分類されますが、『時代・背景』によって造りも変わってきます。
「山城」は敵が攻めにくい山の中に作っていたため今では遺構のみが多いです(備中松山城は自然の地形を活かした城で良かったです)。
姫路城や松山城等の「平山城」が日本の代表のお城としては多いですが、「平山城」である犬山城と松本城でも少し違います。戦乱真っ只中の犬山城は小牧長久手の戦いの拠点だったように背後の木曽川から城までが断崖、城郭は城下町と一体の「総構え」で城だけでなく城下町も堀で囲まれていたため、防御に優れています。
松本城は秀吉への忠誠心で漆黒に塗られた外壁で5層6階の大天守であり、天守内部には、敵兵に石を落とす「石落」や火縄銃を撃つ「武者窓」「狭間」など城内にも戦いを意識した造りが魅力です。
また、名古屋城や二条城等の「平城」は戦国時代の終わりから江戸時代にかけて造られていますので戦乱の世が終わり、お城の役割は敵の攻撃を防ぐことから政治や経済の中心に変わっていますので本丸や二の丸が充実しています。
「石垣」や「虎口(出入口)」、「馬出」等は当時の『技術・知恵』です。写真のように「石垣」の種類も〔切込み接ぎ〕、〔打込み接ぎ〕、〔野面積み〕があり石垣の隅部には強度を高めるための〔算木積〕等されています。また、「虎口」、「馬出」は防衛上重要な箇所だけに様々な工夫もされています。補修はしていますが地震が多い日本で現在も残っている造りにしていることもすごいですし、特に〔石垣〕は現代のようにコンピュータや大型機械がある時代ではないのに効率的に造られています。この時代なりのBIMなのかと思ってしまいます。
『自然や城下町との一体感』は、その土地土地の自然や特徴を活かしながら、城下町も含めて一体で築城をしていますので、当時の人たちの努力や暮らしも感じます。地震で一部破損した熊本城もそうですが、現代でもお城はその土地の重要なシンボルであり、人々の心や暮らしにも繋がると思います。
さて、最近ではVRでもお城を体感できるツールがあったので、先日試してみました。
購入したお城の雑誌からスマホでQRコードを読み取り、アプリ「ストリートミュージアムで」をダウンロードし体験できます。
見るポイントもまとまっておりリアル感はありますのでぜひ試してみてください。
これからは観光業界でもVR等での案内も増えていくと思いますが、お城の観光に限らずデジタルではわからない世界があると考えています。実際そこでの風景・状況や実物からしかわからない醸し出すもの、それが想像力をかき立てられると思います。どの業界でもそういうアナログは今後も大切ではないかと感じています。