コラム「ハマっていること」

2021/06/30
非営利活動法人 設備システム研究会
畠田


設備システム研究会の畠田です。今月より、事務局会のメンバーがコラムの執筆をいたします。設備システム研究会の活動内容と、メンバーの個性(キャラクター)をお伝えできればと考えております。
私は、学生時代からコンピュータでプログラムを書き、インターネット経由で自宅から大学のコンピュータを操作していました。そんな私にとって、設備工事の業務は、パソコンで省力化できることが沢山あると感じました。なぜなら多くの作業が手作業(手書き)で行っていたからです。しかし、そう思ってから24年、コンピュータの性能は格段に進化していますが、まだまだコンピュータが自動で仕事を進めるまでには至っていません。
そんな私が子供とかれこれ3年近くハマっているのは、「Minecraft(マインクラフト)」略して“マイクラ”というビデオゲームです。Minecraftは、仮想三次元空間内を自由に動き回り、探検、建築、農業などができるゲームです。Minecraftは世界で人気が高く、世界で最も売れたゲームです。木を切って家を建て、食料を調達し、洞窟を探検し鉄鉱石や金を採掘することで、仮想空間内を開発(図1)していきます。
図1 Minecraftプレイ中画面
先日、某ドキュメンタリー番組で日本初の「プロマインクラフター」の方が取り上げられていました。お城や世界遺産をMinecraftで芸術的に作り上げるという創作の魅力だけでなく、このMinecraftがプログラミング教育の教材として取り入れられており、社会的に注目されてるからだと思います。自分で操作して仮想空間内に建物を建てるのがこのゲームの本来の楽しみ方なのですが、プログラムを使って、自動的に建物を建てることができます。Minecraftを操作するためのプログラム言語は、小学生でもわかりやすいビジュアルプログラミングが使用されており、命令が書かれたブロックを組み合わせることで、処理を表現(図2)することができます。
図2 ビジュアルプログラミング画面(塔を作成するプログラム)とMinecraft上に作成された塔
まるで建築BIMソフト「Revit」をビジュアルプログラミング環境「Dynamo」で自動化しているかの様に感じます。ゲームだろうが業務だろうが、単純作業やルール通りに行う作業をプログラムで自動化することで、より多くの成果を上げられます。建設業において知的生産性を高めるためには、ソフトウェア技術をより使いこなし、技術検討や図面・書類の作成を省力化していくことが必要だと思います。
また、Minecraftの世界は、基本的に1m角の正方形ブロックで世界ができています。空間を小さなマスに分割して1ブロックごとに処理を行うというのは、経路の計算(図3)のプログラムに通じるものがあると感じるのは私だけでしょうか?ブロックに分けるというのは、アナログな情報をデジタル化する「離散化」と呼ばれる処理であり、コンピュータにとって非常に都合が良い形です。人間が行う判断・処理をコンピュータに処理させるには、離散化だけでなく、コンピュータが扱いやすい形(モデル化)・方法(アルゴリズム)・知識の蓄え(知識ベース)を人間が考え・与えなければなりません。先月くらいから、本研究会のワーキンググループ活動で、施工図作成の自動化に必要な施工ルールの抽出について検討が始まりました。なかなか大変です。
図3 経路の計算例(コラム「CADなんだから」より)
インベーダーゲーム世代からファミコン世代が多い?設備システム研究会ですが、考え方が若い方が多いので非常に刺激になります。是非ともマイクラ世代(Minecraftで遊んでいた世代)の方々にも設備システム研究会に参加いただき、コンピュータを使って楽する(生産性を高める)方法を一緒に考えていきましょう。