コラム「超人28号」
2021/03/15
非営利活動法人 設備システム研究会
三木秀樹
世界最速の人、ジャマイカのウサイン・ボルトさん。陸上男子100メートル走で、9.58秒の世界記録保持者だ。なぜそんなに速く走れるのか、私のような運動オンチには想像もできない。
でも、疑似体験はできる。100mを9.58秒と言うと、10.5m/秒、つまり37.6km/時。原付に乗れば、何とかいけそう。まぁ、公道ではやらないほうが、無難だけど。
考えてみれば、これはスゴイことだ。ただ原付に乗るだけで、才能も努力も必要なく、世界最速の人、の速度感を疑似体験できるのだから。しかも、ボルトさんは多分1時間も走り続けられないが、原付なら1時間でも2時間でも、オシリが痛くなるまで走り続けることができる。私も原付を1台持っているが、なかなかに働き者だ。
写真 私の原付(2017年1月)
そう、これが機械のチカラだ。ボルトさんを超人的と呼ぶことにためらいはないが、機械は全て超人的だ。神様だってビックリだろう。機械には超人的なチカラがあるのだから、何もかも機械にさせるのが合理的だ。でなきゃ、生産性向上も働き方改革もできないよなぁ。あ、自分の趣味だけは別だけど。
機械は、すでに身の周りに溢れている。しかも、今や単なる機械ではなく、プログラムされた機械、いわばロボットと呼べそうなものも多い。
Wikipediaの解説をウケウリすると、ロボットとは「人に代わって作業(労働)をするために作られた存在」、「人の姿を模して作られた存在」、「人の(自律)行動を模して作られた存在」のいずれかまたは複数が該当する、とされる。要すれば、人みたいな機械ってことだ。例えば、洗濯機は洗濯物の量を測って水の量と洗剤の量を調整してくれて、洗剤も柔軟剤も自動投入してくれて、洗濯が終れば、すすぎをしてくれて、脱水してくれて、最後は乾燥までしてくれる。昔は、これら全てをイチイチ人が考えながらしていたわけだから、ロボットと呼んでも間違いじゃなかろう。
洗濯機のほかにも、掃除機や調理機、空調機(エアコン)などなどの家電製品は、何かしら昔は人が考えながらしていたことを代わりにしてくれるから、ロボットだ。家電製品をホームオートメーションとか「オーケーグーグル」とかで結べば、家もロボットだ。もちろん、パソコンもスマホもロボットだ。自動車は今でもロボットだが、数年先には自動運転が実現しそうだから、もっとスゴいロボットになりそうだ。私もロボットを1台持っているが、働き者ではないものの、なかなかにカワイイ。
写真 私のロボット(2017年1月)
「ロボットが増えると、仕事がなくなるじゃねーか#」と心配する人もいるけど、いや、そもそも仕事なんて、しないで済むならしないほうがいいんじゃないの?仕事をしなきゃならない、というのは古い価値観じゃないの?時代が変わっているのに古い価値観に縛られるのは、単なる思い込みじゃないの?
Wikipediaの解説をまたまたウケウリすると、思い込みとは「深く信じこむこと。 また、固く心に決めること。 思い込みをする人は、ある考え方に執着し、合理的な推定の域を超えて、固く真実だと信じ・・」、とされる。要すれば、不合理なことを信じるってことだ。例えば、新型コロナ(Covid-19)騒ぎでテレワークが増えて、会社も社員もこれはなかなかいーもんだ、なんて今頃シレっと言ってるけど、もっと以前から技術的には可能だったはずだ。なのに、通勤地獄も単身赴任地獄も当たり前で、「仕事は会社でやるもんだ」なんて思い込みがあったんじゃないのかな。
さらに、施工図だって、ホントに人が書かなきゃならないものなの?「徹夜しないと間に合わない」とか「設計変更のたびに書き直さなきゃならない」とか「データ交換が上手くいかない」とか文句タラタラなのに、「やはりオレさまにしかできない」なんて思い込みがあるんじゃないのかな。
機械を使ってラクをして、できた時間でノンビリしたり、さらにラクをする方法を考えたりするほうが断然いいと思うけどなぁ。あ、仕事が趣味なら別だけど。